人事部長からの質問
委員会等設置会社について本質を要約してほしい。
今年の6月の時点で申し上げれば、この統治形態への移行を決断した上場会社は36社です。代表的な会社としてソニーをあげてよいでしょう。ソニーを含めて、日立、東芝、三菱電機といった「電機関連」が目立っているように思います。マスコミの関心は、この形態をとらずに従来の監査役制度を維持しつつ、監督と執行の分離問題に挑戦したトヨタの考え方に集まりました。そこに日本型統治の一つのモデルをみたわけです。(この項目は別項『新聞記事解説』でコメント)。委員会等設置会社についての本質ということですが、要は会社を特定の個人に私物化させないための装置だと(私は)みています。第二次世界大戦で勝利したチャーチル、ドゴールはいずれも選挙に負けて政権を退きました。国家を救った個人であっても特別視しない、が民主主義のルールです。選挙メカニズムによる統治者の交代が委員会の役割そのものです。ソニー、日立、東芝等において、チャーチルやドゴールのようなカリスマ指導者が(委員会制度が機能して)退くような場面があれば、この統治形態が本当に日本に根づいたといえるでしょう。
文責:清水 佑三
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