人事部長からの質問
風土改革はやろうと思ってできることなのか。
カルロス・ゴーンさんがやったのは風土改革です。負け組に入ってしまった社内風土を勝ち組に入れるべく荒療治をしました。もともと日産には優れた技術、人があるとみて、風土改革さえできれば生まれ変わる、と信じたのだと思います。やればできる、の具体的な事例です。ところで、論語に「三軍可奪帥也 匹夫不可奪志也 三軍の帥は奪うべきなり。匹夫の志は奪うべからざるなり」があります。帥とはトップのことです。匹夫とは現場の兵のことです。孔子の主張は、トップはとっかえることができるが、現場の兵の気持ちはいじれない、です。トップを変えて現場の兵の魂の共感、響応をえて怒涛の進軍をするのが風土改革の意味あいです。匹夫の志を味方につけられるかどうかで風土改革の成否は決まります。ちなみにいえば、私が会社を興そうと思った動機は、「まじめに仕事をする風土をつくれば会社は繁栄する」という仮説の正しさを実証したい、でした。日本エス・エイチ・エルが繁栄しているかどうかは議論の分かれるところですが、風土改革はやろうと思えばできる、が背後の確信にあります。
文責:清水 佑三
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