人事部長からの質問

2005/09/07 583

分社化したがうまくゆかない。

(分社化の)メリットとしては、(1)フラット化による意思決定のスピードアップ(経営力向上)、(2)事業特性に合った人的資源の再配分効果(生産性の向上)、(3)権限委譲によるコミットメント効果(有言実行風土の醸成)、(4)グループ総人件費の削減、などが指摘されています。逆に落とし穴ですが、(4)の副作用が顕著です。分社した時点ではあらわれないのですが、分社後に採用した社員と分社時点のメンバーとの間の「取り分をめぐる軋轢」が次第に鮮明になってきます。ある労働組合のシミュレーションでは、その会社の新卒入社3年目で(分社化前と比較し)予想年収で150万円の差がつくそうです。新卒で気がきいた人は、分社化とは生産性格差による人件費格差化政策だと気づくはずです。総人件費抑制を狙って分社化した場合、それでもよい人材が集まると考えるのは虫が良すぎます。

文責:清水 佑三