人事部長からの質問

2003/07/04 51

人事部門をまるごと外へ出す(分社化する)ことの危険は?

オペレーション(作業、業務)部門について(の分社化)は理解できます。独立法人とすることで、サービスの質と生産性を世間水準に押し上げ、労働分配率を逆に世間水準に押し下げる効用が期待できます。サバイバルできる条件を自らの手で創れ、勝ち取れ、というメッセージです。それをする場合、作業、業務が分かっている人のほかに、会社経営が出来る人を支配人におかないとたちまち破産してしまう、という危険があります。事業センスを持つ人をトップに配してください。問題は、そうやって分社化しても、サービスの質がその道のプロが凌ぎを削っている水準まで、どうやっても届かない場合が現実問題として出てくることです。親ばなれがどこまで行っても進まなくなります。世間から仕事をとってこいと営業させても、世間のほうで(サービスを)買わないのです。出来の悪い人事部門を分社化するときにつきまとう問題です。  次に分社化させてはいけない人事部署についてですが、人事企画といわれる部署です。具体的には、経営戦略を人的資源の調達と運用計画に落とし込める専門的な能力をもったスタッフをさします。彼らを外に出すと、(会社のことを知らない)社外の人事コンサルタント会社にいいようにおもちゃにされます。忠誠心と使命感をもつけれども能力において社外コンサルタントと同等のものをもつ人たちについては、外に出してはいけないと思います。

文責:清水 佑三