人事部長からの質問

2003/07/02 49

集合研修の必要性を教えてください。

研修を「目的」によって分けると、(1)洗脳、(2)調教、(3)懇親の三つに分けられます。サクセッションプランニング(後継者育成)という言葉で、多国籍企業で実施している上級者への研修などは、(1)の色彩が非常に強いとみています。ボードメンバーとしての社会が企業に求めるものを徹底的に植え付ける狙いがあります。(個々人の仕事人としての)生き方のコペルニクス的転回を求めるのです。(2)は初任管理職研修などで行われているものの大半がこれにあたります。部署長に与えられる組織資源の見極めと再配置法について「骨法」を伝授するのです。劇団でいえば、台本と役者を与え、観客の感動を最大化するために舞台監督としてなすべきことを体得させます。(3)は会社の費用でなされる「同期会」です。入社して以来、全国に散ってしまった同期生が一同に会して、寝食をともにし、あらたな気持ちで再出発を行うエールの交換がその役割です。「お盆の帰省」のようだと思いますが、日本企業の力の源泉はこの階層別イベントにあります。以上が集合研修の効用であります。スキルトレーニングに類するものは、集合研修にはなじみません。アドバイザーつきのeラーニングにおきかわるでしょう。

文責:清水 佑三