人事部長からの質問

2005/02/02 435

多数の聞き手に向かって話すコツは?

事前に「期待」をどこまでつくれるか、が勝負だとみています。(落語の)志ん生さんの最晩年ですが、彼の話しに酔いたいという聞き手で、寄席はいつも満員でした。彼が高座に登場するなりもう会場の隅から隅まで笑いが走る。もう勝負はついてしまっているのですね。その反対が私などがする講演です。一体、こいつは何者なんだ、何の話をきかせるんだ、と聴衆ははじめから疑いの気持ちをもって冷ややかに講師をみている。話しはじめると、やっぱり思ったとおりバカじゃねえか、来なきゃよかったという顔を露骨にされます。志ん生さんとずいぶん違いますよね。聴衆の期待感を事前にうまくつくる、それがコツだと思います。

文責:清水 佑三