人事部長からの質問
ロシアの北オセチア共和国の惨劇が他人ごとに思えない。
この問題に対する日本の新聞・テレビのスタンスには「とまどい」が見え隠れしています。日本だけでないかもしれません。最近、ル・モンド(フランス)は社説で「シラク仏政権は米国のイラク戦を批判したのにロシアには目をつむっている」と書いています。地続きの隣り村で起こっていることなのに「とまどい」がある。惨劇の根にはチェチェン紛争がありプーチン政権の異様な武力による封じ込め戦略があるのは自明です。さらに遡れば、エカテリーナ女帝による南下拡張政策時の「残酷な併合の手口」が併合させられた民族のトラウマを作った、とみることも可能でしょう。一つの文化が他の文化に対して(力を背景に)消しゴムで消すようなことをすると、積もり積もった恨みをつくり、やがて武装勢力の先鋭化をもたらして惨劇を生む、ということなのでしょうね。私も他人ごとに思えずにこの事件のことを考えています。
文責:清水 佑三
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