人事部長からの質問
トップ層のリーダーシップ開発とは何をいうのか?
ゴルフのティーチング・プロの仕事を考えるとよくわかります。タイガー・ウッズが稀にみる資質の持ち主であることを疑う人はいませんが、プラスして彼の抜群の成績の影によりそうようにブッチ・ハーモン(カリスマ・プロ)の存在があったとみるべきです。ブッチ・ハーモンがタイガー・ウッズに高度な技術を伝授したのか。違います。そんなことは誰もできない。そうではなく、ソクラテスの対話法を繰り返したとみるべきです。タイガー・ウッズがある場面で同じ失敗を繰り返した時に、ふっとそこにあらわれるのです。「どうしてこの失敗を繰り返していると思う?」がブッチ・ハーモンの問いです。「ほんとうにそうかな、違うんじゃないかな、だって前にこういうシーンがあったじゃないか」と掘り下げてゆきます。いつかタイガーが自ら現実的で有効な「解法」を見つける。それをお産婆さんのように我慢づよく手助けする。こうしたティーチング・プロの存在を仮定しないと役者が芸に開眼してゆくプロセスは理解できません。
文責:清水 佑三
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