人事部長からの質問
日亜化学を対岸の火事と思えない…
と思っている経営トップは多いと思います。記憶に新しいところでは、昨(2003)年の秋にキヤノンの元社員が、レーザービームプリンター印刷技術の発明で、東京地裁に10億円の支払いを求める訴訟を起こしました。このケースは、発明報酬84万円を提案した会社に対して、再評価要求が出て、会社側が拒否したことが発端になっています。一審で審理が進行していますが、司法判断がバラバラでは国家は成り立ちません。日亜化学の一審判決は間違いなくキヤノンの事案に対する判決に影を落とすでしょう。会社がとりうる方策はただ一つ、fragmentation(破砕、断片化)政策だけです。一つの技術的発明だけで会社が繁栄した場合、いかなる形で発明者の了解をとったとしても凄腕の弁護士たちが登場して、いつか会社は「夏草やつわものどもが夢のあと」となるでしょう。
文責:清水 佑三
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