人事部長からの質問
イエスマンはいけない?
とんでもありません。社長を16年やってよくわかったことですが、社長職には結構しんどいものがあります。骨を拾ってくれる人が後ろにいないからです。上位者に相談することで下位者は心労の一部を放擲できます。相談された上位者もまた、その上位者に相談することで、多少は楽になれます。ところが社長の後ろには誰もいない。ゴミの排泄機構をもたないわけですから、ゴミはたまる一方になります。そういうときに、癒しの効用をもつのがイエスマンです。昔の吉原では太鼓持ち、幇間といいました。酒席の雰囲気をよくすることをもって生業(なりわい)とする男たちです。具体的にはお大尽さまの気分を明るくしてお金を引き出す役割です。そのためには追従、おべっか、お世辞がもっとも有効でした。イエスマンは現代の太鼓持ちです。社長は周囲にこの手の人をおかないとやってゆけない。精神衛生の平衡が保てない。結果的に会社をつぶすことにもなりかねない。会社を守るために、(私は)自分を支えてくれる人の人選基準をもっぱらイエスマンの度合いにおいています。
文責:清水 佑三
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