人事部長からの質問
「笑い」にこだわっておられるが…
私のこだわりはたくさんあって、こだわりライブラリーを肩にしょって毎日が日曜日という感じであります。こだわりライブラリーの中でも、関心の強さしつこさという点で「笑い」は多分、最上位にくるテーマだと思っています。「笑い」についてまじめに考えているなあと笑えたのは池田晶子さんです。福沢諭吉の現代版のような人です。彼女は去年三月に出した『あたりまえなことばかり』(トランスビュー社)の中で「ヘンだと感じた瞬間、理性が自爆して反射的に笑いが飛び出す」という意味のことを書いています。そのとおりだと思うのですね。笑いをとれる人、はもともとヘンな人なのです。しかも無自覚にやっている行動がヘンなので、再生産をしてくれ、といわれてもなかなかできない。笑いをとるスピーチをと社員のみなさんにお願いしていますが、ふだんは間違いなくおかしい人が、壇上にあがるとつまらなくなる。不思議ですね。「笑い」の構造をしっかり分析して再生産可能なモデルまでもっていっているのは、わがみるところ、三遊亭円歌師匠でしょうか。
文責:清水 佑三
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