人事部長からの質問
フロントと現場の対立は必須か?
よいご質問ですね。ことによると必須かもしれません。今回、阪神タイガースの星野仙一退団劇を新聞等で見聞きし、つくづくとその感を深めました。野球は誰のものか、ということについての認識の違いに尽きるとみます。星野仙一にとって野球は観客のものなのですね。これは多分、グランドでボールを追ってきた選手経験者のすべてに共通する感情だと思います。星野仙一が敵将であった原辰徳のために甲子園でサヨナラ・セレモニーを演出しましたが、あれは自分に対する劇だったとみています。ファンが野球を創り育てている、野球は球団のものではない、という実感です。ところが、フロントにとってはそうではない。野球は興行主のものなのです。まったく同じ構造が、商品、顧客、会社の関係についてもいえます。会社(で営まれる仕事)は、顧客のものである、が現場の実感です。フロントはそうは思わない。株主から付託を受けた経営者のものだと思っていると考えます。対立しますよね。
文責:清水 佑三
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