人事部長からの質問
仕事を覚えてくると退職してしまう。優秀な女性に多い。困り果てている。
困り果てるしかない話です。現実問題としてどうしようもないです。女性は男性よりも、損得のセンスが発達しています。仕事を覚えるまでは、給与の貰い過ぎだと感じていますが、仕事を覚えた後は、そういう感じはなくなって、むしろ会社が自分から得る利益がどんどん増えてゆくと感じるのかもしれません。ハナから出世して社長の暖簾を張ろうという気持ちはないので、これ以上の搾取は耐えられないと思った段階で辞表となるのかもしれません。同じことで困り果てている者のゲスの勘ぐりです。
文責:清水 佑三
管理職層と、新卒採用時とで違う会社のコンピテンシーを使っている。ややこしい。
「アセスメント事業者はどうして違うコンピテンシーリストをもっているのですか。よく読むと内容は同じで、コンピテンシー名が違うというのが結構あります。業界で規格化、一本化してくれると、ユーザーはとても助かるのですが。」…業界では、こうした各社のコンピテンシー間の関係性を明らかにする作業をマッピングと呼んでいます。同じ集団のサンプルに対して、例えばA社、B社のコンピテンシー測定を行い、A社のどのコンピテンシーがB社のどのコンピテンシーにあたるかを調べるスタディを行うのです。面白いことに、定義ではほぼ同じなのに、相関がとれなかったり、その逆に定義からは関係性がとれないのに、データが語っているのは「この二つは同じもの」となる場合が出てきます。こういう複雑な現象があるので、業界としての統一規格化は、現実としてできないのです。
文責:清水 佑三
強い立場の仕入先の横柄な態度に腹が煮えくり返る。
「平身低頭で工具を毎回頼み込んで購入しております。一度ガツンと言ってやりたいものですが、供給を打ち切られたら元も子もありません。関西圏ではその態度の悪さは有名でみんなが取引を打ち切られる怖さゆえに何も言えないのです」…公正取引委員会に内部告発するか、今の状態に耐えるか、二つだろうと思います。公取に内部告発する場合は、上司に相談したらややこしいことになります。あなたが個人で、証拠を集め、「優越的地位の濫用」という容疑で訴えるのです。訴えの内容に真実があり、かつ度を越えていると公取が判断した場合は動いてくれます。原則として司法警察は、訴えた個人を守りますので、あまり心配しなくてよいです。それをやる度胸がない場合は、屈辱的立場にとどまり続けるしかないです。
文責:清水 佑三
社内で研修部の人気がない。つまらない研修をやり続けた結果ですか?
その通りでしょうね。人はそれぞれ気持ちのどこかに鋭い損得感情をもっていて、面白くなくてしかも為にならない時間に対して、嫌悪感をもつのです。全社員が会社が用意する研修プログラムに対してそういう感情をもってしまうと、どんな美辞麗句をならべて勧誘しても、とってつけたような理由をつけて参加を断ってくるものです。研修部を立上げ、今のようなレールを敷いた先任者たちの仕事の仕方のいいかげんさのツケがまわっているのです。悪しき習慣を改めるのはとても難しいものです。一度研修部そのものを廃止し、ほんとのニーズがでてきた段階で、最優秀の人材を研修部のトップにもってきて、再構築することをお奨めします。
文責:清水 佑三
企業理念を社員一人ひとり行動レベルに落とし込みたい。名案を。
今は知りませんが、以前、IBM社の社員のデスクには“THINK”と書かれたプレートが置かれていました。何をやるにしても、思いつきをすぐに行動に移すのではなく、縦、横、斜め、前後、左右、古今、東西から点検を入れて、これ以上の事前チェックはできないところまで「考えよ」と迫っているのです。これが企業理念を社員一人ひとりの行動レベルに落とし込んでいる具体的な事例です。大事なことはメッセージがシンプルであることです。数百字からなる“会社ビジョン”をメールで全社員に送っても誰も読みません。
文責:清水 佑三