人事部長からの質問
人材たな卸しといいますが、たな降ろしなのでは?
「入社後10年目の総合職社員を対象に“人材たな卸し”的なアセスメント研修を行っています。届けられるフィードバック報告書を読むと、本人が嫌になるのではと思うほど性能面の弱さが指摘されています。これって意味がありますか。」 というご質問です。まさに人材たな降ろしですね。有効ではないです。20年近く前になりますが、慶応大学医学部(放射線科)の近藤誠先生の「人間ドック有害論」を思い出しました。先生は、人間ドックがなかったら何でもなく人生をエンジョイできていた人が、ドックの映像診断で影がみつかったためにそれがガンによるものかどうか、大手術を余儀なくされる。開腹したらガンもどき(いじらなくてもよい腫瘍)だったのに、当該臓器だけでなく、周辺リンパ節まで根こそぎとって抗ガン剤投与に入る。手術と抗ガン剤の後遺症で自然治癒力が落ち、足早に死への道を歩きはじめる、という主張です。研修目的のアセスメントは、近藤先生のいう「人間ドック」であってはならない。プラスの証拠を集めて励ますシステムです。
文責:清水 佑三
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