人事部長からの質問

2006/09/05 826

CSRやコンプラが重視され「高い志」が蒸発。帰結やいかに?

「CSRやらコンプラといった表層的な活動が重視され、深層的な部分、即ち情緒+形=高い志が忘れられて、日本人の品格が変質しつつありませんか?」がご質問の全文です。そういう角度のご指摘は巷に満ち満ちていると思いますが、私はむしろ逆の印象をもっています。ブランコの喩えをつかえば、後ろに目いっぱい行って、とまり、今は、前に向かって加速度をつけて動き出したタイミングのように思います。状況証拠として、『国家の品格』のロングセラー化、斉藤佑樹のすずやかぶり人気、自著に『美しい国家』とルビを振った安倍晋三への全国民的な期待などがあげられます。CSRやコンプラの重視は、戦国武将が天目茶碗に目の色を変えたような一時の流行であり、だれも命がけ、本気で取り組んでいる人はいないとみます。その証拠に、CSRやコンプラで経営者賞をいくらもらっても(もらったご本人以外)誰も感動しないでしょう。日本という稀有の特徴をもった国は明らかによい方向に向かっている、と私はみています。「高い志をもて」と20年間、ひたすら説き続けてきた私の講演にやっとみなさんが来てくださるようになった。それも一つの明白な証拠です。

文責:清水 佑三