人事部長からの質問
「愛読者招待講演」をききました。最初の謝辞と講演で別人のようでした。こういう芸当はどうやったら身につきますか?
「冒頭に今にも消え入りそうなボソボソとした声で謝辞を述べられた後、講師として檀上に立つと、堂々と大きな声で自説を述べられておられました。どうしてああいう“変身”がいとも簡単にできるのですか。仕事をする上でとても大事な能力のような気がします。」 というご質問です。そうおっしゃられますが、講演後はいつも「失敗感」に襲われ、山奥にこもってしまおうと思うものです。どちらの自分が自分だろうかと考えたのですが、檀上に上らず、社長として来てくださった人に、平伏して御礼を申し上げるのは、私の衷心からの言動です。ごひいき、ごひきたてが過分だといつも思っているからだと思います。そちらが本当の自分です。講演では、「泥縄」「付け焼刃」「とりつくろい」ばかりであり、自信がないのでつい大きな声になってしまうのだと思います。ほんとに、ごめんなさいでした。
文責:清水 佑三
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