人事部長からの質問

2006/03/03 699

グループ討議の効用が疑わしくなったが。

学生が「集団討議」に慣れてきており全員が合格点に達しているように思えてしまうことがある、と添えておられます。「傾向と対策」恐怖症候群ですね。視点を変えてみましょう。同じ詩文を渡してその朗読を俳優学校の入学試験に課している場面です。そういう場面においても「全員が慣れてきており、合格点に達してしまう。」 という判断となるでしょうか。学生落語の全国大会で同じ「演題」を競演させたとしましょう。「慣れてきて評価不能」となるでしょうか。なりません。見る人、判断する人の問題です。 ―かりにそういう場面に私をおいてみてくれ、この人の職業、寿命はいくつまで、この人は将来漂泊するだろう、などと予言してみせる― 私の悪い冗談ではなく、ゲーテの言葉です。「誰でもいい、私の前に15分間おいてしゃべらせてみてくれ。」 につづく台詞です。問題は選考方法にあるのではなく、選考する人にあります。

文責:清水 佑三