人事部長からの質問
会社に対する忠誠心を植え付ける具体的な方法を。
「事に仕えて濁らず」という言葉があります。野球選手でいえば「一球入魂」の心的態度をさします。あくまで対象は投げる「球」であって、チーム、球団、勝ち負けではないことに注意してください。「会社に対する忠誠心を植えつける」という言葉の使い方がまずもっておかしいのです。昭和初年ごろからの日本の指導部は、狂ったように国民に対して「国に対する忠誠心を植えつける」ことに腐心しました。根本的に間違っていますね。愛社精神のようなものが仮にこの世に存在するとしたら、それは会社が自分に対してとった態度、姿勢、与えてくれたチャンスなどに対する感謝の気持ちです。そのほかのものはすべて禍々(まがまが)しいものであります。
文責:清水 佑三
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