人事部長からの質問
お金についてよく考えた人っていますか?
中村光夫さんを推薦します。『知人多逝』(筑摩書房)という本の一章の「金銭と精神」がおもしろい。この章の最後に「金の魔性が、人間精神の所産である以上、それを統御できなければ、人間は結局そのつくりだしたもののために滅びるほかない筈です」と書いて章を閉じています。まさにそうなのですね。言葉も数字も同じだと思う。それを作ったことによって人はそれに支配されはじめる。言葉や数字がそれ自身で目的化したときに、自然が与えた大切なものを奪われる。金というシンボルのもつ不思議さ、魔性を深く考えさせてくれるという意味で中村光夫さんのこの本をあげておきます。
文責:清水 佑三
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