人事部長からの質問

2005/03/03 455

名選手は監督に向かない、といえますか?

言えるように思います。川上哲治、王貞治などは違うのでは、という声が聞こえますが、名前に「治」が入っていて、姓名の力がハンディキャップを埋めているのです。それは冗談ですが、名選手にあってヒアリングをすると、話の内容・関心が際立って自分のワザに向かっているのに気づきます。ワザの開発でいかに苦労してきたかを語るのです。思うようにならない自分の精神と肉体が、その人たちにとって最大の関心事なのですね。他人のことにかかわりあっている余裕がない。鬱屈している補欠選手の気持ちや勝っているのに観客がそっぽを向いていることなど眼中にない。監督業への準備をまったくしていないのです。古田敦也選手だけは例外的な存在で、選手会に属するすべての選手のこと、プロ野球ファンの人たちの気持ちなどを一選手でありながら考え続けているように思います。いきなりコミッショナーにしても勤まる。間違いなく名監督になるでしょう。こういう人は滅多にいません。

文責:清水 佑三