人事部長からの質問
平気で嘘をつけるのは才能か?
ご質問の前段にあった「北」の今回の偽遺骨提供は、計算しつくした国家としての作戦が裏目に出たということだと思います。作戦の前提としてここまで燃やせばDNA鑑定はできないという「北」の専門家の読みがあったに違いありません。その読みをもとに「嘘作戦」に賭けたのです。才能というよりは苦肉の策というべきでしょうか。お尋ねのご質問です。一般に「嘘をつく」ような不徳は評判が悪いものですが、不徳もまた才能であると喝破したのは福沢諭吉です。彼の思考法をまねて、嘘つき(という不徳)と想像力(という徳)とは、実はセットになっていて不可分のものであるという考えを十数年前に出させていただいた「嘘つきのススメ」という本の中で書きました。嘘をつかないで生きて行こうとすると自然に想像力という才能が枯渇してゆくと考えたのです。したがって、ご質問への回答はイエスとなりますね。
文責:清水 佑三
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