人事部長からの質問
20年後の日本は、どうなってしまうのでしょうか?
ご質問の原文は、労働者人口の減少、早期離職率とフリーターの増加、財政の破綻等が列挙されて、この国はこの先ほんとに大丈夫なんでしょうか、というタッチで書かれていました。読んでいて、ふと、司馬遼太郎さんが30年以上前に行った講演(防衛大学校課外講演『明治の日本人』)の一節を思い出しました。牧野伸顕氏(大久保利通の子供)が何かに書いていたことを司馬さんが覚えていて語ったことです。…昭和初年に、著名な英国人女性の外交評論家が日本に何年か住み、横浜から英国に帰ることになった。牧野伸顕氏の音頭とりで彼女と仲のよかった政界人が10人ほど集まって送別会を横浜のあるホテルで開いた。その女性はショッキングなことを冷静な表情で語った。「日本はやがて滅びるでしょう。なぜかといえば、日本の陸軍は天下の秀才を集めてる。彼らが秀才であることは認めるが、彼らには常識というものがない」というスピーチだったそうです。陸軍を国家官僚と置き換えると、現在の日本そのものです。20年後の日本はさらにおかしくなっていると思います。はてしなくおかしくなって、闇に沈んで、いつかまた陽はのぼりはじめるでしょう。
文責:清水 佑三
バックナンバー