人事部長からの質問

2004/10/12 362

ほんとうに「適性」ってあるのか。

よいご質問だと思います。アテネオリンピックの平泳ぎで二冠を達成した北島康介選手について、作家の長田渚左さんは「小さくてしかも体が硬い。プールサイドで屈伸運動を見た人はみんなコチコチの体に驚く」「体が柔らかくないと大成しないというのが水泳界の常識。それが誤りだと彼は身をもって証明した」と書いています。14歳の時から北島選手を指導してきた東京スイミングセンターの名伯楽、平井伯昌コーチは、ニッポン放送で羽佐間正雄アナウンサーの質問に「コーチに対する言動をみていると康介はとても臆病で神経質でスポーツ選手としての性格はもっていない」と答えていました。心身ともに適性について疑問を持たれていたのが北島康介選手なのです。私ごとをいえば、およそ人前で話すことが嫌いで性(しょう)にあっていないにもかかわらず年間、相当回数の講演をしています。お呼びがかかるという事実を冷静に考えると合格点は出せているのかもしれません。人前で話す適性がない、にもかかわらず、です。考えるヒントにしてください。

文責:清水 佑三