人事部長からの質問

2004/08/16 324

トップから強い意志が伝わって来ない。

事業家適性を欠いたトップを戴いているからでしょうね。(質問者は)選手適性を欠いた選手をもった監督が感じる幻滅と同じ幻滅を味わっておられるのだと思います。歌舞伎の台詞でいえば、「それじゃあてめえ、すむめえがなあ〜」でしょうか。事業家適性とは何か。一言でいえば、建築家が家を建てるときの心の働き、高揚をいいます。この地にこんな家を建てればすばらしい景観になる、そこで営まれる人間の生活はすばらしいものになる、という夢と確信でしょうか。そういう建築家魂のようなものをもたない建築家にぶつかった施主は不幸であります。カンムリ企業にこの例が多い。かりに中間管理職や監査役の適性をもった人が社長という名称で落下傘で降りてくるとします。中間管理職の仕事は、上と下を調整することです。また監査役の仕事はフェア度チェックです。そこには「新しい壮大な新事業プラン」がありません。社員には何も伝わって来ないものです。お気の毒としかいえないですね。

文責:清水 佑三