人事部長からの質問
ある会社を買収したが水と油でうまくゆかない。
政略結婚(買収)の本質は、当人どうしの幸福にはありません。政略(目的)を達成するためになされるのです。したがって当人どうしが水と油(不幸)であっても仕方がない、となります。ホンネ(の答え)はそうなのですが、買収した会社の経営を任された人(質問者)の立場で考えるとそれではすまないと思います。参考になるのは離婚に至る夫婦についてなされた研究結果です。離婚現象の共通的な特徴を調べてみると、性格の不一致ではなく、価値観の不一致によるところが大きいのです。一方が貯蓄を何よりも大事だと考え、他方が金は使うためにある、と考えるとします。うまくゆきません。このことからの類推ですが、買収先の価値観を尊重すればよいのです。無理にその部分に踏み込もうとするからぎくしゃくするのです。価値観を尊重した上で、買収の目的を満たす登山口はないかどうか、詳しく検討すべきです。たぶん、ぎくしゃくしない分、前進すると思います。
文責:清水 佑三
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