人事部長からの質問

2004/02/13 198

(社内)身分制度を否定してよいのか?

身分制度は考え続けている問題の一つです。中央集権(身分固定制度)と地方分権(身分流動化)という問題に似て、振り子の揺れのようなもので、つねにどちらかの方向に動いているものであり、どちらがよいというニ値的な解はないのでは、というのが漠然とした(今の)思いです。福沢諭吉の門閥制度は親のカタキでござる、というのはそれはそれでよくわかるのですが、福沢が慶応義塾をもって「日本の知徳の模範、気品の源泉」とするしたのは、あらたな門閥制度の創業宣言ではないかとも思えます。マルクスの『共産党宣言』は身分制度破壊の狼煙ですが、共産党内の職制はよりタチの悪い身分制度ではないのか、とも思えます。社会的身分の上昇(アメリカンドリーム)が社会を活性化させる有力な契機の一つであることは言をまちません。企業内身分制度を人は必要としている、と私はみています。いかにそれを弾力的に運用するかが大事だと思います。

文責:清水 佑三