人事部長からの質問
人事部長の賞味期限は?
面白くてしかも有用な質問です。あらゆることについてその視点をもたれると世間を幅広く、かつ伸びやかにわたってゆけます。付言すれば、卓越したおいしさをみんなが享受できる食べ物の「旬」の時間は、意外なほど短いものだと思います。人事部長という職責でいえば、おれが人事部長になったら、ああしようこうしようと思っていたことについて体を張る時間が、その人の人事部長としての「旬」の時間です。当然、拍手喝采もあるだろうし、ブーイングもあると思います。いずれも思い切ったプレーにはつきまとうものです。こうした賞味期限問題は、社長も人事部長も同じであります。在位が長すぎるのは公害です。「旬」を過ぎたら、どうすべきか。深沢七郎の『楢山節考』は倅が親を山に捨てる話ですが、その時を座して待つよりは、自ら山に入ってゆくべきです。落語で言えば、お後がよろしいようで、といって座布団から自分で降りればよいのです。
文責:清水 佑三
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