人事部長からの質問

2004/01/07 173

年功を無視してよいのか?

年功という言葉が曲者だと思います。亀の甲より年の功、という諺には「長い間に身につけた豊富な経験や智恵は有用であり、尊重すべきである」という含意があります。問題は、勤続年数の長さと有用な智恵との関係性にあるとみます。それが保障されない限り、利益創出の義務をもつ会社が年功に対して冷たくなるのはむしろ当然だと思います。戦争を考えるとよくわかります。竹槍で戦っていたときの兵士の経験や智恵は、鉄砲が使われだした瞬間に無意味化します。竹槍戦の経験や智恵を多くもつ人ほど鉄砲戦への転用が難しくなるものです。さて、人間の話になると、風景は一変します。古代から人が人に対して抱く感情や気分のありようは変わっていません。年功有用論は、人をその気にさせるワザを競う「マネジメントの領域」において成り立つとみています。

文責:清水 佑三