人事部長からの質問

相手の意向や都合をまったく無視して一方的に人をはめ込み、しかもその人が何の働きもしてくれない場合、はめ込まれた方は愚痴をいいたくなるのは人情です。しかし、護送船団方式によって、経営の安定が保障され、その見返りとして天下りがあるのだとしたら、批判する方がおかしいと思います。メインバンクが融資先の経営を支援するために適切な人を送り込む、親会社が優秀な経営能力をもつ人を、経営に苦しんでいる子会社に送り込む、は「天下り」の範疇には入りません。江戸幕府が天領といわれた自分の直轄地に送った郡代といわれる民政官もまた「天下り」ではありません。いずれも必要性をもった上での権利行使であり批判の対象にはなりません。送り込んだ人の失政問題は、生え抜きで統治者となった人の失政問題と同じ次元の問題であり、結果論です。

文責：清水　佑三