人事部長からの質問
福沢諭吉のどこが偉いか?
内緒の話ですが、今から8年前に出した拙著『なぜこの男のまわりに女が集まるのか』(PHP研究所)の種本は福沢諭吉が明治29年から30年にかけて時事新報に連載した『福翁百話』です。まったく似ても似つかない内容になっていますが、福沢が書いた一話一話にそってインスピレーションを働かせて書きました。彼の本質は『福翁百話』に題した(自作の)七言絶句に尽きています。「一面は真相、一面は空/人間万事、漠として窮まりなし/多言、話去るも、君、笑うをやめよ/また是先生、百戯のうち」。つまりどこまでが冗談でどこまで本当か、彼自身において定かでなかったのです。そこが最高であります。
文責:清水 佑三
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