人事部長からの質問
人事部長は中間管理職か?
違います。(喩えを使っていえば)大統領補佐官です。中間管理職と大統領補佐官は本質が違います。中間管理職の本質は、トランスミッション(伝導装置)です。役割は「力の伝導」にあってオリジナルな歴史観、世界観をもってはいけないのです。日本陸軍でいえば、兵団長、師団長、旅団長、連隊長、大隊長、中隊長、小隊長、分隊長がその役割をもっていました。これらの日本語名称は20世紀はじめのドイツ陸軍が範となっています。『ドイツ参謀本部興亡史・下巻(ヴァルター・ゲルリッツ)』。 一方、人事部長は直接、トップに(人事案件を)建策、献策する責任と義務をもっています。(人事部長としての)認知・判断・行動は他のいかなるパワーからも独立して存在すべきです。こうした役割を参謀といいます。1941年に始まった太平洋戦争は、陸士、陸大を優秀な成績で卒業した、少壮参謀たちの独自の歴史観、世界観によって構想されました。組織の生殺与奪の権をもつのは中間管理職ではなく参謀です。
文責:清水 佑三
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