人事部長からの質問

2003/10/07 115

心理学的人事というのはあるか?

告白すれば私は「心理学」が嫌いで、特性論や態度形成の分野で貢献したアメリカの心理学者G.Allportが著書『人格心理学』の中で、「心理学者が束になってかかってもたった1人のシェークスピアに勝てない」と書いているのに接し、快哉を叫んだものでした。この分野にもわかっている人がいる、と思って「心理学」への偏見を改めたものです。ところで心理学的**という言葉は一種の流行語だと思います。マニフェストとか有機**とかというのとよく似ています。かりに心理学的政治という言葉を使う人がいたらバカまるだしです。政治の最大の契機は丸山真男さんがいうように「ありとあらゆる手段を駆使して支配を貫徹する」であり、心理学的政治と限定した途端に自己矛盾が始まるからです。同じナンセンスさが心理学的人事という表現にもあると思います。

文責:清水 佑三