人事部長からの質問
Q610の続きです。環境問題と絡めた「技術者教育の神髄」は?
技術者を研究者に置き換えて答えたいと思います。あらゆる先端的な科学技術は、ヒロシマ、ナガサキにつながる危険と隣り合わせだと思います。そのことは医薬の世界で顕著にあらわれています。難治の病変に劇的に効くクスリは極めて重篤な副作用とセットになっているのです。問題は、そのことを(企業ではなく)個々の医薬研究者がどこまで自覚、意識できるかです。「副作用について確実な知見を導くこと」ができないならば、新薬として世に出してはいけないのだという「医薬従事者としての良心」が自らの「功名心」に打ち克てるようにするのが医学教育の神髄です。まったく同じことがご指摘の技術者教育にもいえると思います。
文責:清水 佑三
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