人事部長からの質問
ナレッジ・マネジメントは有効ですか?
何につけてもカタカナがつくとダメですね。ナレッジという言葉をきいただけで(私の)体は変調をきたします。人工知能のエキスパート・システム(自動診断機構)は、ご指摘の問題を考えてゆく上で参考になります。ご承知のとおり、エキスパート・システムは、優れた専門家がもつ知識を体系化しコンピュータプログラムにくみ上げ、誰でもが一定の情報をインプットすれば、優れた専門家と同等の判断を導くべくつくられたソフトウエアです。レントゲン写真をみて病変のタイプとレベルを診断するソフトウエアを想像すれば「当たらずといえども遠からず」です。医療の世界でいえば、内科の領域ではかなりの割合で自動診断化が進んでいるとみます。患者の検査データをインプットするとある確率で病気を(機械が)いいあてるのです。一人の優れた人がもつ知識を、凡庸な人たちが「結果だけ」享受できるのがナレッジ・マネジメントの狙いです。診断効率は上がりますが、一人ひとりの医師を「馬鹿」にしてしまう効用があります。
文責:清水 佑三
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