人事部長からの質問

2003/10/09 117

人事において「失敗の研究」はどうやるのか?

売れている本が世相をよくあらわします。「失敗の研究」本は出版社の人によれば、(最近)もっともよく売れているテーマの一つだそうです。この言葉を有名にしたのは、『日本軍の小失敗の研究−現代に生かせる太平洋戦争の教訓−』( 三野正洋著 光人社NF文庫)だと思います。立花隆さんが週刊文春の書評欄で取り上げてベストセラーになりました。ところでアングロサクソンと我々日本人とを隔てているものの最たるものは、「失敗者」を名指しできる、できない、だと私はみています。減点主義からなる我々の社会では失敗の研究はオンライン的にできません。本人(及び家族)への配慮が働くからです。人事においても同じです。もし仮に特定の失敗者を想定して資料を集め研究に入り、そのことが外部に漏れたとしましょう。人事部長の首が飛びます。もしするのであれば頭の中で一切の記録を用いずやってください。

文責:清水 佑三