人事部長からの質問

2003/09/29 109

試行錯誤を奨励する風土をつくりたい。

お気持ちはわかりますが、現実の問題となると難しいと思います。野球を例にとって考えるとよくわかります。たとえば盗塁を考えてください。盗塁を何度も試みて失敗を繰り返し、何とか盗塁術にたどりつけないか、が試行錯誤の具体的なイメージです。競っている試合では、怖くて試せません。大勝、大敗している試合で試すとします。相手チームのバッテリーは(試合の帰趨に関係ないので)盗塁を警戒しません。成功する確率は高くなると思いますが、本物の能力、技術につながるかといえば違います。相手が全力を尽くして盗塁させまいとしている時に試行しないと意味がないのです。そこで失敗して試合を落としたら先がなくなります。(「試行錯誤の奨励」は)「適材適所」「公平な人事」と同種同効のないものねだりの一つですね。

文責:清水 佑三