人事改革、各社の試み
HR領域のプロフェッショナルが独自の視点で新聞記事を読み解いたコラムです。元記事のジャンルにより、各社の改革事例紹介である「人事改革事例」編、改革のキーマンに焦点を当てる「ひと」編があります。2008年更新終了。
【人材人財】
小田急百貨店
「Jリーグ方式」でポストを入れ替え
2003年10月18日(土) 朝日新聞be b-4面
記事概要
小田急百貨店は、「売場縮小等の環境下で降格なしの現行制度では立ち行かなくなる」という認識のもとで「Jリーグ方式」で現ポストに見合う成果をあげていない人を、成果を期待できる人と入れ替える方式に踏み切った。2003年9月に発令された異動人事では300人の発令者の中で40人の降格者が出た。この入れ替え制度は2000年3月に導入されたが社員の競争心を煽る結果となり、とかく「おっとりしている」と外から見られる社員に(この制度の導入で)活発さが出てきたと会社ではみている。
文責:清水 佑三
HRプロならこう読む!
降格する場合は・・・
コメンテータ:清水 佑三
百貨店は二つのタイプに分けることができる。ひとつは、三越、大丸に代表される江戸時代の呉服店や有力商店を源にもつタイプである。因みに、三越、大丸とも300年前後の歴史をもつ。もうひとつは東急、阪急百貨店に代表される鉄道会社の1部門として誕生した電鉄系である。ターミナル駅に隣接しているのが特徴だ。
さて、後者に属する小田急百貨店であるが、いろいろな理由から筆者はよく利用する。会社の10周年記念行事の引き出物、個人としては父母の香典返しに使った。担当者の印象は悪くない。新宿西口の店舗もリニューアル頻度が高い。経営意欲を感じる。通路が比較的広めにとってあるのは、昨今の百貨店全体の傾向であろうが、圧迫感がなくてよい。かまってくれる店の人も自分と同じくらいの年齢の人が比較的多く、気が楽である。
小田急百貨店の改革に触れた記事中、次の点に注目した。
降格制度の運用は難しい。Jリーグの入れ替え方式は一つの具体的なヒントである。次のようなメリットがある。
問題は(入れ替えの)ルールづくりである。一にも、ニにも客観的な尺度、指標をもつことが大事だ。売り場マネジャーをイメージして、具体的に(降格のための)尺度案を示してみたい。負の資産形成への貢献度をみる。
こういう尺度が重要である。簡便な測定器を作って、時系列でデータをみてゆく。負の資産形成への貢献度の高い順にたとえば5%から10%の人を降格させるとよい。昇格させるときは、これとは逆に、正の資産形成への貢献度をみればよい。