人事改革、各社の試み
HR領域のプロフェッショナルが独自の視点で新聞記事を読み解いたコラムです。元記事のジャンルにより、各社の改革事例紹介である「人事改革事例」編、改革のキーマンに焦点を当てる「ひと」編があります。2008年更新終了。
「半期年俸制」を導入
ノジマがグループ会社に
賞与廃止し成果主義徹底
2003年9月29日(月) 日本経済新聞 朝刊 13面
記事概要
ノジマ(家電量販店)は2003年10月からグループ子会社(テレマックス)で実質的な賞与制度廃止に踏み切った。賞与にかわる賃金制度は「半期年俸制」ともいうべきもので、半期ごとに店舗成績と報酬を100%連動させた形の半期年俸を決め、6等分したものを毎月支払う。この改革の背景には、成果主義のより一層にの徹底とともに、2003年春から賞与に対する社会保険などの優遇措置の廃止や、給与計算に伴う事務作業の軽減等の狙いがある。
文責:清水 佑三
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賞与廃止は時代の趨勢になるか?
コメンテータ:清水 佑三
記事の目玉はノジマのグループ企業(テレマックス)での実験的な「賞与廃止」である。うまくゆけばノジマ本体でも同様の制度の導入を考えているとある。ベア廃止につづき、賞与廃止の時代がいよいよ間近に迫って来たのか。
ところでノジマにしても、テレマックスにしてもいわゆる流通事業者(量販店)である。社員のほとんどが売上日計がとれる販売店の店長か店長代行である点に留意する必要がある。
賞与廃止→半期年俸制の狙いは次のようなものである。
多店舗流通業においては店舗業績を(タイムラグをおかずに)店長の月次報酬に連結させればさせるほど利益創出はしやすくなる。出る金でもっとも大きいのは店舗マネジャーへの人件費だからだ。
ノジマと同じ考え方をとる流通事業者は今後増えてゆくだろう。利益管理を図る上で、このアイデアは現実的で有効だからだ。
働く側の気持ちでいえば、店舗マネジャーの努力でどこまで店舗業績をあげることができるかは不確かところがある。(店舗業績ダウンの)責めを100%、働く側に転嫁するのはいかがなものか、という気持ちが一方で生まれるだろう。優秀な人がいつくかどうか。
賞与廃止の動きに注意して今後の新聞を読む必要がある。