人事改革、各社の試み
HR領域のプロフェッショナルが独自の視点で新聞記事を読み解いたコラムです。元記事のジャンルにより、各社の改革事例紹介である「人事改革事例」編、改革のキーマンに焦点を当てる「ひと」編があります。2008年更新終了。
求人求職にテレビ面接導入
2003年11月21日(金) 日経産業新聞 朝刊 19面
記事概要
医療系人材サービスのキャリアブレインは、テレビ会議システムを使った面接サービスを導入した。求人側と転職希望者が遠隔地にいても、テレビ画面を通して面接できる。同社の札幌本社、仙台、東京、名古屋など6ヶ所に設置した専用端末を使って無料サービスで行う。札幌在住の医師が九州の医療機関の求人面接を札幌で受けられるわけだ。
文責:清水 佑三
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テレビ面接の未来
コメンテータ:清水 佑三
転職希望者が遠隔地に居住する場合、テレビ面接は求人、求職の双方にとってありがたい。IP電話の普及でテレビ面接のコストは近い将来、信じられないレベルにまで下がり、それにつれて(この方式は)どんどん普及してゆくだろう。何につけても、コストパフォーマンス(の違い)がある線を超えると、旧方式は一挙に新しいものに置き換えられるものだ。
しかし、テレビ電話がどうしても苦手とする(評価)領域がある。思いつくままにあげてみよう。
ネット・オークションで「高額絵画」が扱われないのは、絵画の値段があがればあがるほど、スペック(仕様、条件)ではなく、絵画の品位が問題にされるからだ。ハイビジョン・テレビシステムを使ったとしても、真贋を分ける絵のオーラを伝えることはできない。人もまた同じである。
このことからテレビ面接の効用を次のように整理することができる。
ところで、テレビ会議→テレビ面接となれば、さらにその先に続くものが容易に思い浮かぶ。
IP電話でテレビ会議システムのコストが下がり、送受信の映像・音声の質がよくなってゆくと、ごく少数の優れた医師、カウンセラー、刑事、牧師に、クライアントが集中する図が見えてくる。メディアの発達は、同時に品質の向上を促す。
被疑者がテレビ電話システムで人望のある刑事を指名できるような時代がやってくるかもしれない。