人事改革、各社の試み
HR領域のプロフェッショナルが独自の視点で新聞記事を読み解いたコラムです。元記事のジャンルにより、各社の改革事例紹介である「人事改革事例」編、改革のキーマンに焦点を当てる「ひと」編があります。2008年更新終了。
公共用地補償機構(国交省関連財団) 豪華職員旅行「1泊2日9万円」のナゾ 半額返還決めたが
2008年03月08日 夕刊フジ 2面
記事概要
国交省所管の財団法人「公共用地補償機構」が、道路特定財源との随意契約で得ていた事業収入の中から、毎年1泊2日の職員旅行金を事業に伴う支出としていた問題で、社会批判を浴び、役員・職員30人が旅費の半額にあたる金額を機構に返済したことは既報のとおり。さらに、一人あたり旅費として払われた9万円前後の金額が水増しではないかという疑惑が発覚した。旅費半額返還で批判をかわしたとみられたが、あらたな疑惑発覚でこの問題は事件化する様相を呈し始めた。元職員が夕刊フジの取材に「ホテルは理事長以外はすべて4、5人の相部屋で、部屋や食事も特別豪華という感じでなく、往復の新幹線代、現地の貸切バス代を含めてもせいぜい一人5万円くらいの質の旅行だった」と訴えた。この指摘を裏づけるべく都内の旅行業界関係者にプランを検証してもらうと、「どう高めに見積もっても6万円は超えない」と断言した。この水増し疑惑を機構側に問い合わせたところ「職員の福利厚生に関することなので、中身については答えられない」と回答した。
文責:清水 佑三
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わが内なる公共用地補償機構
コメンテータ:清水 佑三
(労働省所管のある財団)
20年以前であるが、標題の財団の理事という役を何年か仰せつかったことがある。理事といっても、民間企業の社外取締役とはまったく違う、お飾り役で、年一回の総会で執行部の提案に「賛成」と意思表示するのが仕事だった。
そのときに、
に驚いた。
(公共用地補償機構)
機構のホームページによれば機構のミッションは以下のとおり。高い公益性をもつ財団がなんでこんなセコイことをするのか興味深い。何をやる財団だろう。
T 調査研究業務
U 調査算定業務
特殊な工場施設等の補償工法の検討、漁業補償、公共補償等の特殊な補償に関して、学識経験者や専門家の協力を得て個別に補償額の算定を行う。
V 土地収用関係業務
土地収用法に定める事業認定申請書や関係図書、裁決申請書、明渡し裁決の申立書等の作成。
W 精度監理業務
大規模または特殊な施設について、客観的で妥当な補償額を決めるための点検、精査。
X 用地取得等協力業務
地方公共団体等が実施する事業用地の取得に関する調査から補償交渉、契約までの一連の用地業務についての補助業務を、委託契約に基づいて行う。
Y 不動産鑑定業務
公共用地の取得に伴う土地評価、国有財産評価・課税評価等の公的評価、不動産全般の鑑定評価についての業務。
Z 研修講演会等業務
○ 起業者等の用地担当職員を対象にする研修。
○ 補償コンサルタント業補償業務管理者認定研修。
[ 出版業務
○ 月刊「用地ジャーナル」(中央用地対策連絡協議会、全国収用委員会連絡協議会監修)の刊行。
○ 用地補償に関する専門図書の刊行。
\ データベース
用地補償に関する補償事例、事業認定申請事例、収用法3条該当に関する行政回答事例等を電子情報化し、パソコンを使ったネットワークによる検索システムの提供。
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もし、これらの国交省がらみでない独立した委託契約の仕事が商売繁盛だったとしたら、報道で伝えられる機構の収入のほとんどが、国交省からの随意契約に基づくもの、にはならないだろう。
ミッションはいずれ格調が高いが、この機構は、このミッションにそって自ら顧客を開拓し、リスクテーキングする意思はハナからないと思われる。それはこの機構だけでなく、多くの省庁主管の財団法人に共通しているとみる。
それは、十年一日で同じルーティンワークをやることを意味する。淀んだ古池を思い起こさせる。
筆者の関心は、裏金づくりとその使途に現れる、組織人間の心理である。
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「職員の福利厚生に関することなので情報開示はできない」とイケシャアーシャアと言い切れる組織はどう考えても市民感覚から突出している。世間知らずという意味では立派なもの。上から下まで職業倫理を持とうとしない集団なのだ。
以下、裏金づくりについて想像力を働かせてみる。
想像は果てしない。
我々全ての人に、この機構の人たちがどこかに棲んでいるのだ、と思う。
あに、他人事のような批判をするなかれ。