人事改革、各社の試み

HR領域のプロフェッショナルが独自の視点で新聞記事を読み解いたコラムです。元記事のジャンルにより、各社の改革事例紹介である「人事改革事例」編、改革のキーマンに焦点を当てる「ひと」編があります。2008年更新終了。

ギャバ・ストレス研究センター
意識調査 既婚サラリーマン ストレス 原因は上司!?

化学工業日報 2006年11月22日 朝刊3面

記事概要

ギャバ(アミノ酸)のストレス軽減作用を研究しているギャバ・ストレス研究センターが、首都圏で働く、20〜40代の既婚男性サラリーマンを各世代100人づつ無作為抽出し、インターネットアンケートを実施し、その結果を「ストレスに関する意識調査」として発表した。それによると、既婚男性サラリーマンのストレス原因として「上司」をあげた人が全体の回答者の59.8%に達し、「同僚」の35.6%を大きく上回った。上司の何がストレスとなるかについてでは、「理不尽な指示」(42.8%)、「コロコロいうことが変わる」(37.4%)、「指示ばかりで何もしない」(33.1%)などが上位にきた。ストレスが体調に与えている影響についての質問には、「胃痛」(29.0%)、「不眠」(25.0%)などの回答が目立った。ストレスの解消法として、既婚男性サラリーマンは「酔っ払う」(28.9%)など身近な方法で対処していることも明らかになった。

文責:清水 佑三

ストレス原因は「上司」だけではない

 医学用語としての「ストレス」は、外部刺激が生物の個体に「負担」として働く場合、それによって生じる心身の機能変化をさす。

 「ストレス」の原因となる刺激要素は多様である。以下のような例をあげられる。

物理的なもの
・騒音、圧迫など

化学的なもの
・毒素、悪臭など

生物学的なもの
・飢餓、過労など

社会、心理学的なもの
・不安、恐怖など

 (英)エス・エイチ・エルの研究者によれば、企業内において、社員が感じる「ストレス原因」には次のようなものがある。

 (きつい納期)
 いまのままではその納期では無理。どうすればいいか自分の中で解決がつかない。どんどん納期が迫ってくる。

 (厳しい品質要件)
 納品のたびに、ここがダメ、あそこがダメといってつき返される。何がいけないのか見当がつかない。誰にきいてもよくわからない。

 (理不尽な上司の指示)
 上司の指示は絶対という風土がある。上司の指示は、ほとんどすべてが思いつきで、合理性をもたない。馬鹿馬鹿しくてやってられないが、やらないといけない。

 (とげとげしい職場)
 みんな自分のことばかりを考えていて、しかも例外なく、誰もかれもが不機嫌でイライラしている。楽しい会話などひとかけらもない。

 (先が見えない)
 これをやった先にどういういいことがあるのか、誰もよくわからない。霧のなかでみんながばらばらに目先のことをやっている。どうなってしまうのだろう。

 (変化が激しい)
 会社の名前、株主、組織、上司がめまぐるしく変化する。いつなんどき自分のいる組織がなくなるかもしれない。気を入れて仕事ができない。

 (ノルマを強要される)
 武器、弾薬は与えられず、あそこを占領して来いといって後ろから押される。成算がまったくないなかでノルマだけが先行する。

 (冷たい視線を浴びる)
 過去の悪習慣が表にでたために、新聞雑誌でかきたてられ、行く先々で冷たい視線を浴びる。説明する機会も与えられない。

 (いうことをきかない部下)
 いくらいってもわかろうとせず、やる気もない部下、後輩に囲まれて、何をどうしていいかわからない。チームのためにと叫んでも誰もきこうといしない。

 (カラ権限)
 規定上の権限はあるが、実際には死文化している。何をやるにしても牢名主と上司が結託して決めてしまう。

 (文書のための文書)
 仕事と関係がない「内部統制のための報告書」を書くだけで膨大な時間をとられる。中身のある仕事をしようにも時間がとれない。

 (方針が夜つくられる)
 特定の社員と上司が夜な夜な赤提灯で酔っ払って議論する。そこで議論された内容で部署の方針が決められる。そのパーティには近づきたくない。

 (どうすれば昇進するか)
 年収は身分・階層で決まる。どうすれば自分がランクアップできるのか、よくわからない。あの人にゴマをすればよいといわれるがよくわからない。

 (戦略不在)
 成長している競合の戦略は明快なのに、うちにはその手の冴えがない。いつも先をこされて右往左往している。過去の蓄積を食いつぶしているだけだ。

 (孤独な仕事環境)
 仕事の性質上、チームを組んでというわけにはいかない。たった一人でしょいこんでやっている。たまには人と相談して仕事がやれれば…

 (ヘンな人への対応)
 ヘンなクレームをつけてくる人があとをたたない。仕事柄、相手を怒らせてはいけないといわれるが、どう考えてもまともじゃない人を相手に何をいえばいいのか。

 (リスクが大きすぎる)
 数百名の人の命を自分が預かっている。もしかりに頭が酸欠になって判断力が一瞬でもきれたらとんでもない事故となる。それを考えると怖くなる。

 (誰も尊敬してくれない)
 自分が過去、この会社に対して果たしてきた貢献は決して少なくない。社長賞もたくさんとった。周囲のだれもそれを知らない。冷たい目で自分をみている。

 (汚い手を使うヤツがいる)
 成績優秀者の中には他社の誹謗中傷や公正取引法に触れるようなやりかたをしているのがいる。それを放置している会社も会社だ。

 (毎日が繰り返し)
 去年のいまごろも同じ場所で同じ仕事を同じやりかたでしていた。来年の今ごろも同じ場所で同じやりかたでしているだろう。つまらない。

 (真夜中の呼び出し)
 寝ていてもいつ電話がなるかわからない。どうしても薄寝になってしまう。楽しい夢もおちおちみれない。自分しかわからないのだから仕方がないが。

 (土日のゴルフ)
 ゴルフも酒もおもしろいと思わない。しかし、仕事柄それをしないとカドが立つ。土日までかりだされるのは何とかならないか。

 (知性が枯渇してしまう)
 理屈をいうと嫌われる。結果をだしてからものをいえ、という。みんなが結果がだせないからこうしたら、というと決まってそういわれる。このままでは自分の知性が枯渇する。

 (いい子ばかり)
 周囲をみるとみんなものわかりがいい。ハイハイといってそのとおりにする。批判を浴びても結果を出すようなヤツは皆無だ。何を考えているのだろう。

 (給料があがらない)
 いつまでたっても給料があがらない。雀の涙ほどの昇給があるだけ。会社は儲かっているはずなのにどこにいってしまうのか。

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 エス・エイチ・エルの研究では、ある人のパーソナリティ(タイプ)と、その人がつらく感じるストレス原因とは一定の関係がある。それを活用することで、ストレスを主要な原因とするメンタル疾患の発症率を軽減してゆくことができる。

 こうした地道なプロセスを丁寧に踏んでゆく以外に、企業内におけるメンタル疾患問題への対応策はないとみる。

コメンテータ:清水 佑三