人事改革、各社の試み
HR領域のプロフェッショナルが独自の視点で新聞記事を読み解いたコラムです。元記事のジャンルにより、各社の改革事例紹介である「人事改革事例」編、改革のキーマンに焦点を当てる「ひと」編があります。2008年更新終了。
東京電力
企業倫理講習会 “属人的思考” 防止を 役員はじめ150人対象
2006年9月27日 電気新聞 朝刊 15面
記事概要
東京電力は、企業倫理の向上を目的に、総合研修センター総合研修部主催で、役員や本店各部、事業所等の企業倫理責任者や主要関係会社の社長など、150人を対象に定期的に講演会や研修を行ってきている。今回は、東京・内幸町の東京電力本店で岡本浩一・東洋英和女学院大学教授を講師に招き、「『属人的組織風土』に陥らぬために――シュラウド問題周辺から学ぶ」と題する講演会を開いた。講演の中で岡本教授は「責任のある立場の人こそ属人的思考にならないことが大切。仕事以外の世界を持つ、毎日活字を読むなど論理的思考を持つことで属人的思考を防止してほしい」とした。岡本教授によれば、「属人的組織風土」とは、提案や発言の正邪・当否の判断が発言者の肩書きによって変わるというもの。講演後、東京電力の田村滋美会長は「外部に情報を公開する、高い目標をもつ、この2つを実践し、何でもいえる職場環境をつくってゆきたい」と出席者に呼びかけた。
文責:清水 佑三
HRプロならこう読む!
不祥事を生む属人的組織風土とは?
コメンテータ:清水 佑三
記事中のシュラウド問題とは、2001年7月に発覚した、東電、福島第二原発3号機のシュラウド(と呼ばれる炉心隔壁装置)全周に見られた亀裂、ひび割れ事故に端を発した、東電の組織ぐるみの事実隠蔽問題を指す。
2001年9月、東電は、3号機シュラウドのひび割れは、水中カメラで清掃作業後の状態を確認しているときに、偶然映っていたものを見つけたと説明。アメリカの原子力専門誌が東電の説明は事実と異なり、1997年に東電ならびに保安院はひび割れの事実を組織として知っていたと暴いたことから東電、保安院の組織姿勢、ありかたが社会問題となった。
ちなみに、保安院とは、原子力安全・保安院という原子力その他のエネルギーに係る安全および産業保安の確保を図るための経済産業省内の機関である。国家と同義である。
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ところで記事にある岡本浩一(東洋英和女学院大学)教授の属人的思考への戒めについての講演を、筆者は別な場所で一聴衆として聞いたことがある。
数年前、東京経済人倶楽部(代表、小島秀樹弁護士)という団体が主催する研究会に岡本教授が講師として招かれ、「企業不祥事はなぜ起こるか」といテーマで講演をされた。中に「属人的組織風土、属人的思考」に関係した話しがあったと記憶する。正確な日時、場所は不詳。
うつろな記憶を頼りに、そのとき岡本教授が話された内容を紹介しよう。「企業不祥事はなぜ起こるか」は大事な問題意識であり、このコラムの読者にとって益する知識が含まれると信じるからだ。
岡本さん、違って書いていたらごめんなさい。
(企業不祥事が起きる背景)
(こういうふうであれば不祥事は起きなかった)
(属人的思考スタイル)
(属人的思考が蔓延すると…)
(属人的組織風土に陥っていないかの点検)
(それではどうしたらいいのか)
どこまでが岡本さんの言葉で、どこからが筆者の言葉か判然としない。
普段から筆者が考えていた、我々の企業文化、企業体質批判を岡本さんが明瞭な形で口にされたので嬉しくなって、自分の言葉とゴチャゴチャに混じってしまったかもしれない。岡本さんが言いたかったことの大筋はたがえていないと信じる。記憶に頼った話なので寛容を乞う。
読者の参考になれば幸いである。