IR情報

成長のシナリオ

平成30年9月期は、日本経済は順調、いざなぎ景気を越える好景気の中でのスタートとなりました。3月決算企業の業績予想も概ね順調で、内需系企業を中心に企業の人材不足感が継続、採用意欲も民間企業の採用見通し調査で新卒・中途ともに増加傾向でした。 採用環境も、新卒採用は、平成29年卒、平成30年卒と同様に3月広報開始、6月選考開始という日程でしたが、今年から1Dayインターンシップの開催が認められ、求人意欲の高まりもあり、各企業とも前年以上に前倒し気味の採用戦線となりました。学生側も3月から6月までという短期集中決戦を意識し、積極的にインターンシップイベントに参加する傾向が強くなり、民間企業調査でもインターンシップ参加比率は78.7%と前年に比べ13.5%アップしています。
全体としては、経団連の採用選考に関する指針を遵守しない企業が増え、さらなる前倒しにより採用選考のヤマ場が集中、短期化し、前年より早めに終息していきました。民間企業調査でも10月1日時点での内定状況が94%という結果(前年比1.9%アップ)で、大手企業、中堅中小企業の堅調な採用意欲を背景に内定率は前年を越えています。
当社でも10月以降3月までの上期累計では、企業の前倒し選考の結果として売上が対前年比109.5%と伸長し、反動で4月〜6月までの第3四半期(中盤)は、前年を下回るペースとなりました。しかし終息が早かった分、中堅・中小企業の採用継続、追加採用、平成31年卒のサマーインターンシップ選考での当社テストの導入などにより、7月〜9月の第4四半期(終盤)は3年ぶりに前年同四半期実績を上回るという結果になりました。また当期は、VAR案件の獲得が売上増に寄与しました。
最終的には終盤の伸びにより平成30年9月期決算でのご報告のように売上は5%増、経常利益、当期純利益はそれぞれ5.1%増、4.8%増と増収増益となりました。

現状では米国トランプ大統領の保護主義政策強化による深まる国際的軋轢、中国を含んだ新興市場の景気の鈍化リスク、北朝鮮、ロシアを含んだ外交問題など国際的な先行き不安の要素が数多くあります。国内では豪雨、地震、台風などの自然災害が大きな被害をもたらし、海外旅行客が減少するという影響も出始めています。日本経済は底堅い内需により企業業績も堅調に推移しており景気の極端な落ち込みの危険は少ないようですが、独り勝ち状態の米国でも景気腰折れのリスクがあり、円高に進むことも予想されます。このような情勢ではありますが、今後も構造的に人材不足感がますます強くなってくことは明白です。AI、IoTといったIT関連業界の技術者、建築住宅設備関連、外食サービス業、旅行業など一部業界の人材不足感は依然解消されていませんし、当社に近い人材関連ビジネスは好調を持続し、新卒採用意欲もまだまだ旺盛といえると思います。

企業の採用活動ルール無視が続く状況の中でも平成31年卒までは同様の日程でしたが、平成32年卒に関連して見直し論議が活発化する中、これまで採用活動ルールを決めていた経団連が10月9日に平成32年卒を最後にし、平成33年卒採用から指針ルールを廃止することを正式決定しました。今後は政府主導で新たな枠組みを議論していくことになっています。ただ、大学、学生に混乱を招かないように、平成33年卒までは3月―6月日程を維持していこうという方向性のようです。このような日程目安が残ったとしても、実態としては、企業側は、今年以上にインターンシップイベントなどで学生と接触する機会を大幅に増やし、前倒し選考を想定して次年度の計画を進め始めています。今後は、インターンシップ実施を前提に、通年型で採用する企業が増加していくことは確かです。当社も今後の新卒採用のあり方の変化、企業側の動きを見据えながら対処していく所存です。企業側、学生側の動きに先んじてコンサルティング、代理店への営業支援ができるように引き続き行動してまいります。

こうした当社を取り巻く経営環境の中で、当社を今後とも成長させるための「成長のシナリオ」をご説明させていただきます。
平成30年9月期までの結果を踏まえ、当社の目指す方向性としての「成長のシナリオ」の骨子部分での変更はありません。採用日程の変更があっても、企業側の新卒採用ニーズは「優秀なコア人材」「グローバル人材」への対応です。当社からの人材要件作成、採用基準作りのコンサルティングを核に、これらのニーズを正確に把握、分析し、その企業に最適な商品・サービスをスピーディに提案してまいります。
なお「グローバル人材のSHL」というグローバルブランドが当社の強みです。平成25年9月に当社のライセンス供与先であったSHL Group Limitedを人事関連の会員制アドバイザリー会社である米国の上場会社Corporate Executive Board Company(以下、CEB社)が買収、そのCEB社は平成29年4月にITリサーチ&アドバイザリー会社のGartner社に買収されました。そして、平成30年2月にGartner社が英国の未公開株式投資会社であるExponent PE社にCEBタレントアセスメント事業の売却を決定、旧CEBアセスメント事業部門は4月からSHL Global Management  Limited(以下SHL社)としてSHLアセスメント事業を展開しております。当社とのライセンス契約はCEB社そしてGartner社、さらにSHL社に引き継がれております。

これまで以上に一層の経営体質強化を図り、役員・社員が一丸となって業務にあたり、今後とも業績拡大へとまい進していく所存です。 より一層のご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
この「成長のシナリオ」は、現段階での中期的な経営目標であります。

平成30年11月2日
文責 代表取締役 奈良 学

コア事業の新卒テスト市場に戦力集中、中途、転職市場での補完も確実に進展

当社は、これまで、新規学卒者の採用選考における適性テストを主とした人材アセスメント(エクスターナル)サービスを中心に提供をし、このマーケットにおいて高い評価をいただいております。企業側は厳しい経営環境下では採用数を絞り込む傾向にありますが、業績好調の中でも、むやみに採用数を増やすのではなく、学生への質重視の「適切な人材」「優秀な人材」に対する企業の要求は年々高いものになっております。新卒採用日程等の変更があっても「入社後にきちんと成果の出せる人材、配属予定の業務に適性のある人材」を求めるニーズはより強くなっていき、そのための適切な選考ツールが求められております。

このように新卒採用に対するニーズは底堅く、当面はこのコア事業である市場としても伸びている新卒市場での戦力集中を引き続き展開する方針です。そのためには「商品力のさらなるアップと営業組織の強化、営業効率の改善」が必要です。商品力については既存商品の改善はもちろん新商品の研究開発を継続します。営業体制では、東京、名古屋、大阪の三拠点を軸に各業界の主要企業とのさらなる取引拡大を目指します。平成30年8月には、三拠点で採用シンポジウムを同日開催し、東京のパネルディスカッションの模様を大阪、名古屋にも同時ライブ配信して大手企業の情報収集ニーズに応える試みを実施しました。
今後も各種のイベント・セミナーから見込み客を獲得し受注・成約に結び付ける営業手法により、効率化を促進させていきます。効率的な営業活動の促進としてコンサルタントの訪問活動との相乗効果を今後も強化してまいります。また引き続き定期採用で新卒を採用し今後の当社を担う人材として育成指導してまいります。

新卒市場以上に現在活発化している経験者採用市場に対しても代理店のネットワークからの取り込みにより成果が上がってまいりました。全国に展開した代理店チャネルを通じてそうしたニーズに細かく対応してまいります。有力な販売代理店チャネルを通じた顧客の拡大により当社の顧客数は毎年増加しておりますが、平成19年の(株)毎日コミュニケーションズ(現(株)マイナビ)の資本参加により、この拡大に一層勢いが加速していると確信しております。

現在、国内企業でも「グローバル人材」の採用と育成の必要性が大きくクローズアップされています。当面は国内市場、特に新卒採用市場に注力しながら成長戦略をとってまいりますが、世界50ヶ国にわたるグローバルネットワークを持つSHL社は30以上の言語に対応した測定ツール(以下、多言語ツールという)を通じて主要国の先進的企業をはじめ1万社以上のクライアントに対し年間2,500万件のアセスメントを実施しております。国内市場では当社が引き続きグローバル人材採用を支援する体制を維持するとともに、新商品の開発等につきましても両社のもつ研究・開発力を連携してまいる考えです。

以下の4つの基本戦略を成長シナリオとして継続し今後とも売上、営業利益を伸ばし、さらには大幅に増加させるステップに載せることを当面の目標とします。

▲目次へ戻る

成長シナリオ1 取引社数6,547社達成、今後も拡大、シェア50%獲得を目指す

当社の取引社数は6,547社となりました。これまでも社数を順調に伸ばしており、堅調に推移する新卒市場の中で、毎年10%程度の拡大を目指しておりますが、今期は、採用選考期間の前倒し、早期終息により437社増(7.2%増)となりました。当社の(株)マイナビ、(株)ディスコといった販売代理店(販売委託先を含む)28社は、各社の取引社数を合わせ約2万社の納入先を有しております。採用適性テスト市場において当社の「IMAGES」「GAB」等のブランドイメージはトップ商品として強固なものになってきております。引き続き当社販売チャネルを通じ2万社の納入先に当社プロダクトを拡販することで新規顧客をさらに拡大していくことは可能だとみております。
景気変動を受けやすい採用市場の中でも新卒採用市場は経験者採用市場、派遣・パートといった臨時雇用市場に比し底堅く推移しております。競合他社との兼ね合いもありますが、新卒採用市場での当社商品の強みを生かしさらなる取引社数の増加で現状3割程度と推計される当社の適性テストのシェアを5割まで上げていきたいと考えております。
また当社の競合他社の有力取引先である大手企業についても、その一部が当社の販売代理店経由で当社の販売見込み客となってきております。従来は当社の人員体制面からフォローしきれない点もありましたが、現在では販売代理店による営業体制ネットワークの充実により、当社コンサルタントの人的資源をこうした有力な販売見込み客に優先して投下できる環境になりつつあり、当社として積極的にアプローチしてまいる方針です。当社の新卒採用人員を今年4月入社も4名規模とし数年後の戦力人員として育てております。

▲目次へ戻る

成長シナリオ2 Web化の推進による利益率のさらなる向上

当社は、創業以来今日まで質問紙法とよばれる心理テストを媒介にした情報処理型サービスを主体に事業展開してまいりました。被検者に対して長い時間の拘束ができない新規学卒者の採用選考においてこの手法は極めて有効であり、結果として当社の売上の大部分は新規学卒者の採用市場に集中してまいりました。また顧客ニーズを先取りする形で他社に先駆け、ブランド力のある適性テストである「IMAGES」「GAB」等の紙テストの主力商品をはじめ、各種のアセスメントツールのWeb化を進め、顧客企業から高い支持をいただいており、Webアセスメントツール売上は平成30年9月期も売上高比率で73%を超え当社利益増の推進力となっております。(株)マイナビ等の代理店経由で販売する適性テストは中小企業向けは紙ベースが主力ですが、今後は中堅以上の企業に向けてインターネット上のWebテストに切り替えて行く方針です。Webならば仕様変更が容易にでき代理店経由でも大手企業を取り込めると考えており、当社も在庫を持たずにすみ、物流費やデータ入力の手間が削減でき、利益率の向上につながります。すでに4期前に当面の目標だった Webアセスメントツールの売上高比率65%を達成しましたが、今後もさらに利益率を向上させ75%を達成すべく努力してまいります。

▲目次へ戻る

成長シナリオ3 現有社員向けサービスの機会拡大、顧客を絞り込み、効率営業を

採用選考場面のような社外の人に対するエクスターナルサービスに対し、配属・登用等の人事施策の適正化に関する現有社員に対するインターナルサービスがあります。一時景気低迷により組織拡大に対応するインターナルサービスのニーズは小さくなりましたが、採用難、社員の高齢化といった環境変化から、既存社員の戦力化が課題になってきています。特に顧客企業の管理職層の配置転換要請や選抜された幹部登用等から、インターナルアセスメントを管理職登用試験制度に組み込みたいとするニーズが高まってきております。グローバル企業の「タレントマネジメント」に対する興味度もアップしてきております。従来からこの分野への積極的展開を目指しておりましたが、提案機会を拡大できる状況でもあり、当面は現状の環境のなかで当社の強みである新卒採用から入った顧客に絞りこんでの営業を継続してまいります。 特に当社直販チームは、Webテストを中心とした選考プロセスコンサルテーションを既存顧客に拡大し、深耕により複合的なサービスの提供を行い安定した売上の継続を図っております。こうした選考プロセス全体の設計の助言と合わせ、顧客企業とりわけ大口顧客に対するインターナルサービスを充実させてまいります。「グループ討議」「プレゼンテーションテスト」など当社の独自性のあるインターナルサービスを中心に積極的に推進してまいる所存であります。

▲目次へ戻る

成長シナリオ4 人材採用市場の変化を先取りした商品開発

すでに市場でブランドイメージを確立しているサービス商品に対してメニュー構成や品質の見直しを通じてユーザー満足度を上げていく改善努力を進め、さらなるシェアアップを図ってくことは当然ですが、人材採用ルートの多様化など市場の変化が顕著になってきた中で、いかにその変化に対応していくかが課題となってまいります。特に新卒採用市場では、平成33年からの経団連主導の採用ルールの廃止決定をきっかけに通年採用型にシフトしていく流れができつつあります。また中途採用でも恒常的な人材不足により、既存社員の人材棚卸を行いタレントマネジメントを活用し、いかに適材適所を実現してくかが問われています。最近AIによる選考、データ分析に基づく人材管理といった手法に注目が集まっていますが、こうした企業ニーズに対応するには、求める人材要件、採用基準の明確化こそが前提となります。当社がこれまで提供してきた高い信頼性、妥当性をもつアセメントツールこそこうしたニーズに合致するものです。当社の築いてきた実績と顧客との信頼関係を基盤にし、これからも常に企業ニーズを先取りし市場をリードしていける商品を開発できるような体制作りを構築してまいります。


▲目次へ戻る

:上記文中で使用している数値データは、平成30年9月30日現在の各資料に準拠しております。